<お役立ちメニュー>脂肪吸引についてしっかりと調べて納得のいくクリニックを選ぶブログ:2018/12/31
幼かったむすめが大好きだったもの、
それは俺の「耳たぶ」。
甘えたい時、眠い時、不安な時…
いつだってむすめは俺の耳たぶを求めた。
小さく温かい指で触れられると、
とてもくすぐったかった。
それでも、何だかほんのり心地良くって、
ついつい俺の方が先に眠りこんでしまうこともしばしばあった。
ある夜のこと。
いつもむすめの右側で寝ていた俺は、
たまたま左側で眠っていた。
むすめが動く気配で目が覚めると、
むすめが右側にいる主人の方に転がっていくのが目に入った。
そして主人の耳たぶを触り始めたのである。
あれ?と思った瞬間、むすめの手がとまり、
目がはっと見開かれるのが分かった。
右、左、ときょろきょろ頭を動かすと、
あわてて俺の方に寄ってきて、
耳たぶを触り始めたのである。
むすめは、俺と主人をまちがえたのだ。
でも耳たぶの感触ですぐに気づいたのだろう。
安心しきったむすめの寝顔を見ながら、思わずふきだしてしまった。
むすめに耳たぶをゆだねている時は、
なぜか母乳をあげていた時と同じ気持ちになれた。
求められる嬉しさ、母としての喜び、
無垢な優しさがじんわりと胸に広がっていく…
けれど、むすめは俺の耳たぶを卒業してしまった。
遠慮がちに触っているなぁと感じるようになったある夜、
触りやすくしてあげようと頭の向きを変えた時、
むすめの指がふと離れた。
そしてそれ以来、
むすめの指が俺の耳たぶに触れることはなくなってしまった。
「耳たぶなんて覚えてないよ」と八才になったむすめは笑う。
それでも、俺は決して忘れないだろう。
あの頃耳たぶに感じていた小さなぬくもりを…
ささやかな幸せの一時を…